NHKの「日本の、これから」という番組を見ました。
昨日のテーマは若者。
経済の回復がはかばかしくない日本。中国やインド、アフリカなど今後の市場拡大が見込める国にどんどん売り込んでいきたいところ。少子化もますます進み、若者への期待も高まっていますが...。近頃は、海外への留学生の数や、若者の海外旅行者数がピーク時(90年代後半)からともに3割以上減少、商社などでも海外勤務を嫌う人が増え、ある就職情報誌の調査では、53.6%の学生が地元での就職を志向するなど、若者の「内向き化」が進んでいると言われています。
さらに、アメリカ・中国・韓国の若者と比較した調査では、「学力や成績」に対する意欲だけでなく、「趣味や特技」に打ち込む意欲も低いことがわかりました。若者がお金を使わない「嫌消費」も、企業の間では問題になっています。
こうした中、ある企業では、日本の若者に「生きのいい」人材がいないと、優秀で積極的な外国人留学生の採用を優先するなど、日本の若者に見切りをつけるところも現れています。一方、故郷や地元に愛着や誇りを感じ、昔からの友達と仲良くつきあい続けること自体、悪いことではないのではという意見もあります。
はたして、今の若者のこうした変化は、日本にとって、どんな未来をもたらすのか。そもそもこの「変化」の背景には何があるのか。「若者」と「大人」にわかれ、本音で語り合います。
若者は昔と比べてダメになってしまったのでしょうか?
頼りないのでしょうか?
生きる力が弱いのでしょうか?
私は、全くそんなことはないと思います。
むしろ優しくてたくましい。
純粋に人の役に立ちたいと思っている若者が多いと感じています。
ここでいう若者とは、現在18歳〜25歳の世代と想定しましょう。
私は30代半ば。
その世代の友人はあまりいないので、ネットで見聞きした情報が主な判断材料です。
もし間違いがあればご指摘ください。
価値観が多様化した
インターネットの商用利用が始まったのが1990年頃。
ちょうど今の若者が生まれた頃です。
だから彼らの生活を考える上で、インターネットは欠くことができないでしょう。
インターネット普及前と後で何が変わったか。
それは、ニッチな嗜好であっても簡単に同好の士を見つけられるようになったことではないかと思います。
普及前はテレビや雑誌など、マスメディアの情報が主な情報源でした。
だから自然と一般の趣味嗜好・価値観は似通っていたと考えられます。
変わった趣味を持っている人もいましたが、ごく一部でした。
私も子どもの頃は、みんなと一緒に野球を見、歌謡曲にアニメに熱狂していました。
今や趣味は多様化していて、ネット上にはいろんな情報が溢れています。
日本だけではなく海外の人とさえも、簡単に同じ趣味で繋がることができます。
それぞれが好きなことを追求する。
これは「個性」を育てようという教育が目指してきたところでもあります。
もはやみんなが同じ価値観ではなくなったのです。
だから自分たちの価値観で彼らを測ろうとしても無理なのです。
仕事だけに人生を賭けるのは危険すぎる
もう一つの重要な時代背景は終身雇用制度が崩壊しているということです。
特に今は就職氷河期まっただ中。
彼らにとっても私たちの世代にとっても、
会社に属し、一つの仕事だけに専念することは危険になってしまいました。
もちろん仕事を一生懸命やることは大切です。
手を抜くのが良いというわけではありません。
しかし会社だけを信じて突っ走っても、その先に何も待ってはいないのです。
昔は終身雇用制度がきっちりしていたので、定年まで勤められたかもしれません。
今や大手企業でも倒産する時代。
何があるかわかりません。
仕事ではなく、別のこと(家庭・趣味)を人生の主軸に置きたいという気持ちはなんらおかしくないと思います。
「正しさ」を求められて続けてきた
特に最近気になっているのが、「正しさ」を求める風潮です。
どんな事でも情報を入手できる世の中になった反面、
知らないことは恥ずかしい、できて当然という空気ができていないでしょうか?
若者は「正しさ」を求められていることを敏感に感じていると思います。
だから周りの人の感情を察する力が強くなる。
間違ったことはしたくない、失敗したくない、だから行動しない。
そういう空気を感じて縮こまってしまうのも致し方ないでしょう。
「それは危ないから」という理由で、過保護に育て彼らの挑戦心を奪ってきた周りの人の責任です。
人を押しのけてまで自分の意志を通そうとは思わない。
自分たちの身の回りのできる範囲のことをやる。
今はそれで満足しているのだからいいのではないでしょうか。
自分が必要だと感じたときに次のステージに進めばいいのです。
彼らにこれから必要なのは経験と自信
ネットでは若者の行動力に驚かされます。
自分の考えをしっかり表明したり、勉強会を主催したり、人に会いに行ったり。
私の若い頃には考えられなかった。
実社会ではまだ力がなく発言力も小さいでしょうが、
障壁の小さいネットでは生き生きと活動し始めています。
彼らにとって、ネット社会も実社会も同じ社会。
それが分からずに「ネットの仮想空間に閉じこもっている」という意見もあります。
仮想空間でも立派な社会活動であることに変わりはありません。
若者はもっと自分たちに自信をもっていいのです。
なんら批判されるような落ち度はありません。
むしろ我々よりももっと社会の状況をよく見、よく把握していると感心してしまいます。
今はできることが少なくて結果が残せず、自信が持てないかもしれません。
でもそこで投げ出さずに突き進んでください。
仕事だけではなく、趣味にも、他のことにも。