うつ患者はうつであるという状態に逃げているのか


「うつ患者は、自分がうつであるという状態に逃げている」という人がいます。
うつであるという状態に逃げている、とは例えばこういう人のことを言うのでしょう。
「私はうつだから○○ができない」
「うつだから○○なのは仕方がない」

うつ患者は本当に逃げているんでしょうか?
私はそうは思いません。

うつの状態とは

うつがひどいときは、すべての出来事を悪く受け取ります。
とにかく自分の存在自体が申し訳なく、全てが自分のせいと感じ、
こんなに迷惑をかける自分なんて消えてなくなったほうがいいと思ってしまいます。
そして頭痛もひどく、体中が痛いのです。


症状の大小や出る場所の違いはあるにせよ、
自分がどうなっていて、周りの人とどういう関係であるか正しく認識できなくなっているのが、うつです。
患者は自分がうつだということすら気づかないものです。
「自分はうつだから」と言える人は、すでにうつ状態から抜けているのだと思います。

逃げるのは病気のせいではない

「自分はうつだから○○できない」
しかし、これはうつ以外でも使えます。


「自分は日本人だから○○できない」
「自分は理系だから○○できない」
「自分は女だから○○できない」


中には、物理的に不可能なことももあるでしょう。
でも大抵ののことは「自分は△△だから」というレッテルを貼って、
できない・やろうとしない自分をごまかそうとしているだけです。


こう考えると、「うつだから○○できない」という人は
うつだから逃げているのではなく、
健康なときでさえ何らかの理由をつけて逃げる人なのだということがわかります。
これは人間性の問題であり、病気のせいではありません。

病気を憎むのか、人を憎むのか

うつ患者がいるせいで迷惑を掛けてしまうことは多いでしょう。
仕事が上手く進まないとか、家庭がうまくいかないとか。
そのため「あいつのせいで」という気持ちになるのはわかります。


しかし、骨折をしたり手術をしたりしても、仕事や家庭に影響がでます。
精神疾患だけが迷惑を掛けているというわけではありません。
病気やけがだから影響がでているだけです。


うつをはじめとする精神疾患は目に見えない病気です。
だから本人がいくらでも嘘をつけるじゃないかと言う人もいるでしょう。
でも例えば胃に穴が開いていることも外からは見えません。
その人が本当に病気か、医者でもない一般人がどうしてわかるというのでしょう?
一般の病気ならそう思わないのに、こと精神疾患に関しては
「あいつは病気なんかじゃない」と勝手に診断する人が多いことに驚きます。


周りにうつ患者がいる人は、少し考えてみてください。
その患者自身を憎んでいるのか、それともその人が病気になっていることを憎んでいるのか。
その人が逃げているように見えるのは、その人のせいなのか、病気のせいなのか。


逆にうつ患者は自分がどう考えているのか、周りの人に伝えてみましょう。
正しく伝えられないかもしれませんが、あきらめずに伝えることで、
あなたが本当に「病気」に困っているのだとわかってもらえるきっかけになると思います。


また、「自分はうつだから○○ができなくて当然」と思っていないか、考えてみましょう。
病人だからといってわがままが許されるわけではありません。
病気でも病気なりになにかできることがあるはず。
感謝の言葉をかけるだけでもいいのです。
できることから、行動してみましょう。